【完】嘘から始まる初恋ウェディング
「で、ですが…ルナさんには、僕よりももっと相応しい人間がいます…。
それこそ、社長…ルナさんのお父様があなたに相応しい男性を…きっと探してくれます。」
ルナには婚約者がいる。 いつかルナの親父が言っていた。
こんなの一時的な感情だ。 たまたま近くにいた異性の人間で、頼りになると思われているのは、俺が君の父親に依頼をされて身辺警護をしていて、気にかけているからだ。
きっとそんな淡い恋心、すぐに消えてなくなる。 会わなくなれば、ルナの中に芽生えた感情もいつかなくなるだろう。 しかし俺の言葉に、さっきまで笑っていたルナは不服そうに眉をしかめた。
「私、自分の好きな人位自分で選びたいわ。 お父様や誰かに決められた人間と運命を共にするなんて嫌です。
それに私は白鳥さんがいいんです! お嬢様だと思って馬鹿にしないで下さい!」
「馬鹿になんて…していませんけど…」
まさかここまで気が強いとは思っていなかった。 ふわふわとした可愛らしいお花のような女なのに、見え隠れする頑固さが時たま現れる。