【完】嘘から始まる初恋ウェディング

けれど先週の日曜日に白鳥さんに手作りのケーキをご馳走して、今まで自分の中でこんなお菓子があったらいいなあと取り留めもなく書き溜めて来た企画ノートを彼に見せると

「すごいいいじゃないですか。 ルナさんはもっと自分の意見を周りに言うべきだ」 と彼は言ってくれた。 自信がなくって、俯いてばかりいた私に確かに勇気をくれたんだ。

そして白鳥さんは一緒に仕事の事を考えてくれた。 夜遅くまで社内に残っていても、いつまでだって付き合ってくれた。

心配性な母も、翔さんと一緒ならと帰りが遅くなる事を許してくれた。


元々お菓子が好きで、食べるのも作るのも好きだった。 小さい頃から自社の商品は食べつくしてきて、色々な会社の新商品も出る度に食べた。

いつか自分の考えたお菓子が形になったら…と、父の会社であるチェリーチョコレートカンパニーに入社をしたけれど、中々自分を出せずにいた。

けれどその週の水曜日。 企画会議で勇気を出して、自分の意見を言ってみたのだ。

「最近の流行りは低糖質で美味しいお菓子じゃない。
普通のお菓子じゃインパクトがないわ。」

< 141 / 306 >

この作品をシェア

pagetop