【完】嘘から始まる初恋ウェディング

「30代、40代がターゲットならば、なおさら低糖質には拘るべきだと思うわ。 パッケージがシンプルでも目をひく商品ならばお客様は買って下さると思うもの」

「レナさん、パッケージは大切ですよ。 地味な商品はどうしたって他社の製品に埋もれてしまう。
パッと目を惹くような華やかさがないと。 まずは手に取ってもらう事が大切だ。」

「そんなの、あなたに言われなくても分かっているわ…!」

今日も白鳥さんとレナちゃんがばちばちと火花を散らす。

「あー…えー…何だ?他に意見のあるものはいるか?」

ふたりの間に立って、困ったように部長が周りに助けを求める。

まさか私がここで発言をするとは誰も思っていないようで、少しだけざわつきながら周りは互いに目配せをし合う。

その中で白鳥さんだけがジッとこちらへと視線を向ける。 ぎゅっと両こぶしを握り締めて、目の前にあったノートを見つめる。

今まで、言いたくても結局言えなくて呑み込んだ事は沢山ある。
いつだって少しの勇気が出なかった。

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