【完】嘘から始まる初恋ウェディング

「でも泣きそうでしょう? 目の縁が赤くなっている。
くくッ。会議中もぶるぶると震えて、あれじゃあまるで捕らえられたウサギさんだ。思わず会議中笑いそうになって、堪えるのが大変でしたよ」

「……白鳥さんの、意地悪」

「でも立派だったと思います。 自分の気持ちを人に伝えるのって難しい事だけど、伝えたいって思う気持ちが大切なんだとルナさんを見ていて思います。
それに僕は、ルナさんの企画すっげぇ好きですけどね。
いやあ、しっかし笑えた。 声まで震えちゃって」

「緊張したんですのよッ。やっぱりそんな事を言うなんて、今日の白鳥さん意地悪ですわ…。
バカバカバカ」

支えて貰っていた手を振りほどいて、ぽかぽかと小さく彼の胸を叩く。
白鳥さんは、目を細めてただただ優しく笑うばかりでした。

そんなやり取りをしている時に、レナちゃんがやって来た。 私の腕を強く引くと、キッと白鳥さんを睨みつける。

このふたりは、会議中以外でも犬猿の仲だった。

「ルナッ!」

「あ、と。 じゃあ僕は社長に呼ばれているので、失礼します。」

そそくさとその場からいなくなる白鳥さんと、私の腕を掴んだレナちゃんは少しだけ冴えない顔をしていた。

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