【完】嘘から始まる初恋ウェディング
ぽぉーっと頬に熱が広がって行くのを感じる。 その場で大きく頭を下げて、「こんばんは…!あの、今朝はありがとうございましたッ!」 そう言うと父は目を真ん丸にして私と白鳥さんを交互に見つめた。
白鳥さんは穏やかな笑みを浮かべたまま、ジッとこちらを見据えていた。
「そうか、そうか、今朝ルナを助けてくれたのは白鳥くんだったのか」
ダイニングテーブルには、母の手作りの豪勢な料理が並べられた。
父はご機嫌そうにビールを片手に、大きな笑い声を上げた。
「ええ、助けたは…大袈裟かもしれませんけど、確かに今朝ルナさんにお会いしました。
実は社内でも気が付いていたのですが、声を掛けるタイミングを逃してしまっていて。
改めて初めまして、白鳥翔と申します。 よろしくお願いします。」
「いえ、こちらこそ…!白鳥さんが女性社員にずっと囲まれていらしたので、声を掛けるタイミングがありませんでした。
桜栄ルナと申します。
今朝は本当にありがとうございました。お礼を言うのが遅くなりごめんなさい。
あの、傘は今庭先で干していますので、乾いたらお返しいたします…!本当に助かりました。ありがとうございます…!」