【完】嘘から始まる初恋ウェディング

―――――

「ルナには北斗くんと婚約をしてもらおうと思っている」

いつもより賑やかな夕食を終えて、父から飛び出した言葉はありえない事ではあった。

「は?」と言ったのは、白鳥さんで、父も母もほっくんさえニコニコしていた。 白鳥さん同様、は?と言いたいのはこちらの方で、何故に?どういう理由で私とほっくんが婚約をしなくてはいけないのだろう。

「言っている意味が分かりませんわ……」

「今日は、ルナの婚約について話を聞いて欲しくてレナも呼んだんだ。
阿久津フーズファクトリーとは良い関係も築けているし、ルナと北斗くんも昔からの顔なじみだろう?
前々から阿久津社長ともお話していたところなんだよ」

婚約者?ほっくんが私の…?

確かにほっくんとは幼馴染で、仲も良かったわ。 けれど彼を異性として意識した事なんかなかった。

いきなり顔なじみだからといって婚約者なんてありえない。 大体私はまだ結婚する気はないわ。 いや、相手が白鳥さんであれば別だけど。

そもそもの話、私は白鳥さんが好きなのだ。 だから彼以外の異性と婚約どころか交際は考えられない。

< 153 / 306 >

この作品をシェア

pagetop