【完】嘘から始まる初恋ウェディング
ほっくんの事は嫌いじゃない。昔から仲が良かったし、お兄ちゃんみたいな存在だ。だからといって、結婚はまた別の話だ。
結婚で盛り上がる三人の会話に割って入ったのは、意外にもレナちゃんだった。
「お父さんも、お母さんも待ってよ。 私だってルナには幸せな結婚をして欲しいと思っているわ。
けれど、北斗って……。 皆で勝手に話を進めてルナの気持ちを無視するのもどうかと思うの。」
その言葉は意外だったんだ。レナちゃんには会社で仕事を無理する事ないって言われた。 私には早くお嫁さんになってもらって、家庭に入って貰った方が安心だと言っていたから。
「けれどルナだって気心の知れている北斗くんだったら心強いとお父さんは思うんだが」
「そうですね。 俺もルナの事は小さい時から知っているし、ルナとの結婚ならば大歓迎だ。」
「北斗もッ……。私が言いたいのはそういう事じゃないわ…!
確かに北斗に任せれば安心だとは私も思うの。
でも肝心のルナの気持ちはどうなるの…? これじゃあ、無理やり政略結婚のようじゃない…!」
強めにレナちゃんが言うと、父も母も目を丸くする。
再びほっくんは私の方を見つめ「ルナは嫌かな?」と訊ねてきた。