【完】嘘から始まる初恋ウェディング
♡4♡ *SIDE翔* 俺らしくない。
♡4♡ *SIDE翔* 俺らしくない。
ルナに婚約者がいるのは、元々聞いていた。
まさか今日社長が自宅に連れて来るとは思ってもみなかったが。
阿久津フーズファクトリーは、チェリーチョコレートカンパニーほどではないが大きな食品会社だ。
そしてルナが馴れ馴れしく’ほっくん’と呼んでいた 阿久津 北斗は…見るからに育ちの良さそうな坊ちゃんだった。
俺とは違う。作られた品行方正ではなく、生まれた時からの育ちの良さを窺わせる、爽やかなイケメンだった。 …俺より全然王子様っぽいじゃねぇか。
意味が分からない。 けれどあいつに自己紹介をされた時、胸がもやっとした。 はっきりと婚約を断らないルナにも苛ついた。 って、俺が何で苛つかなきゃいけねぇーんだよッ。
部屋の大きな窓を開けて、煙草に火をつける。窓から見えるは、今日も月の綺麗な夜。柔らかい光を放つ神秘的な光。 心が浮かない。
「あー…苛々すんなあ…
いいじゃねぇか。あんな男が側にいてくれたら、もう俺なんて用なしじゃないか…。」