【完】嘘から始まる初恋ウェディング

少しだけ、近づきすぎたか。

ルナの作る手作りお菓子っつーのは、食えたもんじゃない程甘ったるかった。 けれどお世辞で’美味しい’って言ったらあの大きな目が零れ落ちそうな程喜んで

自分はお菓子が大好きだから、心の中でお菓子のアイディアは沢山あるって心底嬉しそうに俺に報告してきて

びっちりと書き溜められた企画ノートの中には、まるであいつの解き放てない心が詰まっているようで、毎日毎日遅くまで仕事を手伝った。

そして今回の企画会議で、あいつは自分の口で自分の想いを人に伝えた。


人は共感する生き物だから、そこにある想いが強ければ強い程、真剣であればあるだけ伝わる物だ。

ルナの考えたお菓子は、お世辞でも何でもなく俺をワクワクさせた。 だから勇気を持って自分の気持ちを伝えたルナに少しだけ感動して、見直した。

「…俺の事が好きなら…そうやって言うなら…婚約者なんていらないってハッキリ父親に言えばいいだろう…」

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