【完】嘘から始まる初恋ウェディング
父にビールを注がれながらも、視線をこちらへ移してにこりと微笑む。
…なんて素敵な方なのかしら…。 改めて明るい場所で近くで見た彼は、とても美しい顔をしていた。
高身長で、手足も長く、短めな黒髪は前髪が上がっており、そこから見える目鼻立ちはくっきりととても整えられている。 女性社員が甘いため息を漏らしていたのにも頷ける。
切れ長の瞳は一見冷たく意地悪そうにも見えるけれど、とても穏やかな笑顔を揺らすから全然怖くない。 にこりと笑うと薄い唇の間から真っ白の歯が見え隠れする。
「ルナに傘を貸して下さったのが翔さんだなんて、ほんっとうに偶然ってあるものね。」
「本当に、僕もびっくりしています。」
「本当に驚いちゃうわ…。まさか竜馬さんの会社の方だったなんて。
竜馬さん、ずっと秘書をつけるのは嫌がっていたのに、それにもびっくりだけど…」
「まあ…その…なんだ…、白鳥くんはとても優秀な方で…
とはいえ、企画部の方の仕事も担ってもらうから、ルナやレナと一緒に仕事をするタイミングも増えるだろう。
ルナ、白鳥くんはとても優秀な方だから、色々と教えて貰うといいよ」