【完】嘘から始まる初恋ウェディング
「それともお前も飼い主が結婚するのが寂しいのか…?」
猫に独り言を言ってしまうなんて、末期だ。 ロミオの耳がぴくりと動いて、きょろきょろと視線を動かしたかと思えば廊下に大急ぎで駆け出して行ってしまった。
「ロミオ…!こんな所にいたの?!」
その声と同時にパタパタとスリッパを鳴らす音が響いて、ロミオを抱きかかえるルナとドア越しばっちりと目が合ってしまった。
ルナの胸の中に抱えられると、ロミオは俺を見て「フー」といつものように威嚇し始めて、ぴょんっと彼女の胸から飛び降りて、ササっとどこかへ行ってしまった。
「白鳥さん……またロミオがご迷惑を…」
「いえいえ、ドアの前をカリカリと引っ掻いていましたよ」
「そうですか、あの子ったらもう…」
お風呂から上がったばかりなのだろう。 いつもと一緒真っ白のレースのネグリジェにもこのこのパーカーを羽織っていた。
くっきりと浮かび上がる胸元に思わず目を逸らし、ドアを閉めようとした時だった。