【完】嘘から始まる初恋ウェディング
「私、白鳥さんに話があるんです…。お部屋に入ってもいいかしら?」
「それは…別にいいですけど…」
全然良くない! そんな恰好で男の部屋に入り込もうとするな。 普通だったら襲ってくれと言っているようなもんなんだ。俺じゃなかったらお前は既に清純を奪われているんだ。
それをもう少し自覚して欲しいもんだ。そもそも危機管理能力がなさすぎる。
彼女を部屋の中に通すと、ふわりとお風呂上がりのシャンプーの香りがする。 自分の理性を抑えているのも疲れる。
階下は既に静かだった。
とっくにレナや阿久津北斗は帰っていた。
かといって、婚約者の話が出てから、しかも風呂上がりに男の部屋に来るなんて無防備すぎないか?!
部屋の扉を閉めると少しだけもじもじしながら、どこに行っていいか分からずに視線だけきょろきょろと動かす。 そして鼻を上に向けたかと思えば、ムッとした顔をこちらに向ける。
「また煙草を吸っていましたわね」
「あー…ハハ、まあ…」
ここは俺の部屋だ!(所有者はお前ら家族かもしれないが) 俺の部屋で俺が何をしようが自由だ。