【完】嘘から始まる初恋ウェディング
好きな人に触れられたら嬉しいのは、女も一緒よ。
ますます白鳥さんが好きになってしまった。 そして翌日父にははっきりと告げた。 「ほっくんとは結婚出来ない」と。
いつもは穏やかに笑う父の表情が曇って、「何故だ?」と質問されて、その質問にははっきりと答えたんだ。
「好きな人がいる」と。 何故か父はその場で固まってしまって、それ以上は何も言わずにその日はずっと変だった。やけにボーっとしていたり、母に何かを問われても見当違いの返答を返したり。
そしてその週の土曜日、私はチェリーチョコレートカンパニーの新製品の企画書を改めてまとめていた。
恋愛は恋愛。仕事は仕事。きっちりとしなくては。 私がこのアイディアを皆に伝えられたのは、白鳥さんの後押しがあったからこそだ。
けれども………。
「あらあ…じゃあ翔さん…今日は夕ご飯いらないの?」
「ええ、用事がありますので。
今日は古くからの知人と会うので、帰りは夜中になるかもしれないので僕の事はお気になさらずに…」