【完】嘘から始まる初恋ウェディング

土曜日の朝、白鳥さんは上機嫌で母にそう伝えていた。

金曜日。昨日の夜の事だ。 「土日は何をしている?」と彼に訊かれた。 まさかデートのお誘い?!なんて考えちゃったけれど、正直に企画書をまとめようと思っていると伝えると、彼はえらくホッとした顔をしたかと思う。

そして朝起きたらこれだ。 古くからの知人と出掛ける…。と、いう事は土日は白鳥さんに会えない?そう考えただけで寂しい気持ちでいっぱいだった。


寂しいですわ…。ここ最近はずっと一緒に居たから。


母は洗濯物を干しに晴れ渡ったお庭に出て行った。

リビングでは既に着替え終わった白鳥さんとジュリエットがじゃれ合っていた。 というか、一方的にジュリエットが白鳥さんの上に乗って騒いでいる。

…ずるいわ、ジュリエット。どうしてそんなに積極的なの?…私は自分から白鳥さんへ触れることに未だに戸惑ってしまう。

懐きはしていないけれど、白鳥さんが居る空間にはすっかりと慣れたロミオは少し離れたダイニングテーブルの椅子の上からそんな二人をジッと見つめていた。

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