【完】嘘から始まる初恋ウェディング
「それは欲しいですわ…!私も予約しようかしら。」
「ふふ。ルナちゃんって本当に素直だね。 そんなんじゃあすぐ騙されちゃうよ」
小さく笑いながら、実悠さんは言った。
「でもうちの商品が良いのは、本当。 けれどルナちゃんはお嬢様だからもっと良いの使ってるんじゃないの?」
「そんな…私は…」
実悠さんは切り揃えられた髪を綺麗に乾かして、丁寧にアイロンを充てていく。
鏡越し、ふと実悠さんと目が合って暫しの沈黙が流れる。
「あの、実悠さん…今日は実悠さんにお訊きしたい事があり、ここまでやってきました」
「ふぅん。それって、翔の事?」
私ってば、思っている事が顔に出てしまうタイプなのかしら。
戸惑っていると、実悠さんはくすりと小さく笑った。
「ルナちゃんってやっぱり素直で分かりやすいね。 で、翔の何が知りたいの?」
「あの、その…実悠さんは…白鳥さんの恋人なんでしょうか…?」
勇気を振り絞りそう訊ねると、アイロンを手にしていた実悠さんの手が一瞬止まった。
少しだけ曇った顔。けれど、すぐに笑顔を取り繕い大笑いしだしてしまった。