【完】嘘から始まる初恋ウェディング

けれどルナの好きな男は俺だ。そんなのありえない。

近しい人間。これには第三者が関わっている。 そしてそんな時にあいつは何を呑気にお出かけなんてしてやがる!


まだ阿久津北斗と一緒かもしれない。ホテルから出て直ぐにルナに電話をしたが、繋がらない。 何の為の携帯だ!

「げぇッ。今あいつ新宿にいるのかよ?!」

GPSは新宿を指している。 阿久津北斗と一緒ならば、まだ安心だ。
しかし一人で新宿をウロウロとしているとしたら、それはそれで問題がある。

アジア1の歓楽街。 新宿歌舞伎町。 あんな治安の悪い場所に行っていたとしたら、あのふわふわとしたお嬢様ならば風俗やソープにスカウトされてフラッとついていきかねない。 いや、一般人の少し悪い男にナンパでもされて無理やりホテルにでも連れ込まれたら…。

どうか阿久津北斗と一緒に居る事を、今は願う。

「何で電話に出ねぇんだよッ!」

依然として電話に出る事はなかった。 虚しいコール音が耳に響くばかり。

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