【完】嘘から始まる初恋ウェディング

『どこにいる』
『電話に出ろ』
『早く家に帰れ』

連続でラインを送るものの、既読マークは一向に付く気配が見られない。 何度も言うが’携帯’をちゃんと携帯しておけ。

取り合えず新宿に近いラブホテルに居て良かった。 直ぐにタクシーを拾い、GPSを頼りに取り合えずルナを探す事にする。

結局休日もあのお嬢様に振り回されている。 本当だったら今頃あのキャバ嬢と楽しんでいた所だったのに…。


週末の歌舞伎町は飲みに出ている若者達で賑わいを見せていた。 いつ来て見ても胡散臭い街だ。 どこかギラギラとしていて、派手な装飾が施され空気が悪い。

飲み屋だって稼ぎ時で、同伴前のクラブのお姉様達がそこらかしこに見える。 どこから沸いて、どこに消えていくのか、それが新宿の不思議な所。

ちなみに俺は嫌いではない。 若い頃は遊びに来るのも好きだったし、大学生の時は仕送りをしてもらえなかったので、高級クラブでボーイのアルバイトもしていた。

だからこそこの街がルナには似つかわしくなくて、危険な場所だというのを知っている。

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