【完】嘘から始まる初恋ウェディング
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セックスはただ互いの欲望を満たすだけの行為だと思っていた。
その間に流れるとろりと甘い時間があるなんて、この歳になるまで知らなかったんだ。
出したら全て終わり。その瞬間に、さっきまで熱を持っていた全ての感情は萎えていく。
俺の手の中で、敏感に反応する体を、心を深く抱きしめたいと思ったなんて初めてだ。 苦しそうな顔も、涙でぼろぼろのぐちゃぐちゃの顔も、花のように笑う顔も、こんなに愛しく思えるなんて
「ルナ………」
「ん……」
「大丈夫か?痛くない?」
「だい…じょうぶ…です…」
全然大丈夫じゃなさそうな表情。 ぎゅっと体を硬直させて唇を噛んでいる。
「大丈夫だと思うけど無理そうだったらすぐに言って」
自分でもおかしいほど、女の体に気を遣っている。 けれどこれじゃあ、無理つっても俺の方が止まりそうにない…。
セックスをすれば体は満たされていくのは、知っている。でもこの心まで満たされていく気持ちは。