【完】嘘から始まる初恋ウェディング

ちらりと顔を上げて白鳥さんを見つめると、白い歯を見せて爽やかに微笑んでくれる。 …やっぱり、心臓が変。

白鳥さんはずっと静かに微笑みながら、父や母、そして私に様々な話題を振ってくれた。

話し上手で、聞き上手。 母の機嫌はいつも以上に良かったし、父はビールをいつもより多めに飲んでいて、ロミオはずっとソファーの後ろに隠れて私達を観察していたけれど、ジュリエットに関してはぴったりと白鳥さんにくっつきっぱなしだった。

不思議な事に、白鳥さんが居るだけでその場がぱあっと華やかになる。 和やかで楽しい夕食の時間はあっという間に過ぎて行った。 けれどその間も私の心臓は忙しい位鼓動を刻み続けていった。


夕食が終わり、母がお茶を淹れている時父がとんでもない事を言い出したので、「え?!」と思わず間抜けな声が飛び出した。

「実は、白鳥くんは日本に帰ってきたばかりでまだ住居がない。
なので、家が決まるまで一ヶ月間うちで暮らしてもらおうと思っているのだが…
ほら、うちはレナも居なくなって部屋も空いているし、どうだろうか…?」

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