【完】嘘から始まる初恋ウェディング
「はよ。大丈夫か。随分長く眠ってたみたいだが」
「そ、そうなのですか…!私ってばなんて失礼な事を……」
「いや、あれは俺が悪い。お前の体を気遣わなさ過ぎた。
体は辛くないか?」
きゅうううん。 昨日もそうだったけれど、白鳥さんはとても優しく私に触れてくれて、気遣いの言葉を何度も投げかけてくれた。
泣いてしまったのは、悲しかったからじゃない。痛かったわけでもない。 指先からあなたの優しさが溢れてきて、心がすっごく満たされて嬉しかったからなの。
胸の中、ぶんぶんと首を横に振るとふいに彼がゆっくりと抱き寄せた。
ああ、昨日あんなに泣いたのにまた泣き出しそうだ。
好きな人と一つになる事ってこんなに幸せな事だったのね。
「ゆっくりしとけよ。 まだ午前中だ。」
「もう朝なんですね。窓がないから時間の感覚がおかしくなりそう… 私ったらすっかり寝入ってしまって…」
ぴたりと顔にくっつけた白鳥さんの胸。
引き締まった体から、ドキドキと心臓の音が聴こえる。 私とお揃いで、また嬉しくなる。