【完】嘘から始まる初恋ウェディング
どうしよう…体中から汗が噴き出て、止まらない。 動悸息切れが激しくなっていって、その場で立っている事すら辛い。
まさか、レナちゃんにそんな風に思われていたなんて…。
私はなんて馬鹿なんだろう。いつだってレナちゃんが嫌な顔ひとつせずに私のフォローをしてくれて…
いや、会社に入ってからだけじゃない。 昔からそうだった。 小さい時から泣き虫で人見知りな私を助けてくれたのは、姉だ。
レナちゃんはいつだって笑っていて、私はその優しさに頼りきりで甘え切っていたんだ。
ごめんなさい、レナちゃん。心の中で謝罪をして、視界はぐらぐらと歪んでいく。
「じゃあ、私部長に呼ばれてるから行くね。」
「はーい、お疲れ様でーす」
レナちゃんが居なくなっても、給湯室で女性社員の話は続いていた。
今すぐにこの場から立ち去ってしまいたい。そう思っても足は鉛のように重くて、まるで地面に張り付けにされているよう動かなかった。
「正直私嫌いなのよね、桜栄ルナ」
「分かる。でも男ってああいうちょっぴり頼りない天然な女が好きだからね。」