【完】嘘から始まる初恋ウェディング
恋に落ちてしまうなんて、あの時は情事後の感情の高ぶりからくるものだと思っていた。
でも心に灯った熱はいつまで経っても消えそうにない。
今まで女を抱いたら冷めてしまうだけだったのに。
「でもルナを見てるとこう……」
どうかしてしまったんだ。 依頼主の娘と出来てしまうなんて洒落にならない。
頭を抱えていると、ドアをカリカリとする音が聴こえた。 またか…今日も奴がやって来た。
扉を爪とぎするのが合図。まるで「やって来たぞ」と主張するように。 ゆっくりと部屋の戸を開くと、そこには手足の短いヒョウ柄の猫。ジッとこちらを一瞥するとタッと廊下を駆け出していく。
一体何なんだ。猫という生き物は全く理解不能だ。 そしてロミオが走り抜けていった先には必ず彼女が居る。
「白鳥さん」
ルナが廊下から俺の名を呼ぶのと同時に、ジュリエットが嬉しそうに駆けだしてきた。
激しい求愛タックルと共に部屋に押し込められる。
「はっ はっ はっ」
舌を出しながら嬉しそうに息を荒くするジュリエットが、ベッドに俺を押し倒す。
盛りのついた雌犬め。 つーかやっぱりお前ルナより絶対重い…! 嬉しそうに息を吐きながら、キスの嵐が顔へと降り注いでいく。