【完】嘘から始まる初恋ウェディング
―――――
土曜日、ぼんやりと繁華街を歩いて過ごす。
何人か女に連絡を入れたが、何故か皆今日に限って用事が入っていたり、留守電に繋がったりした。
暇だ。やる事はない。 最近はルナに振り回されっぱなしで暇を感じる時間がなかった。
「少し買い物でもして自分んちにでも行って寝るか……」
街をゆっくりと歩くようになってしまった。 それもこれもルナが歩くのが遅くて、それに合わせていたせいだ。
女に合わせて歩く事なんかしなかったのに。
ふと足を止めて、緑だった木の葉っぱが黄色く色づいていたのに気が付く。
あいつはよく足を止めて「秋は好きです」と言っていた。 ボーっと自然を見上げる事なんてルナに会うまで絶対になかった事だ。
あーーー…休日まであいつの事を考えるのは止そう。
そうだ。買い物にでも行こう。 久しぶりに新しいスニーカーでも買おうと思っていた所だ。
しかしショッピングモール内に来ても、目につくのは何故か女物ばかりだった。 頭がバグってしまったとしか思えないんだ。