【完】嘘から始まる初恋ウェディング

とあるアクセサリーショップで足を止めて、ガラスケースの中をジッと見入る。
一万ちょっとのイヤリング。値段も結構手ごろだ。

淡いピンクとローズがついていて、リボンの形になっている。いかにもルナが好きそうなデザインだ。

…それにあいつに似合いそう。  生粋のお嬢様だ。社長やらから高級なジュエリーなんつーのは貰っているかもしれない。

でも値段で物を選ばない女だろう。 俺からのプレゼントだと言えば、あの大きな瞳から大粒の涙を流して喜ぶに違いない。

「彼女さんへのプレゼントですかー?」

「へ?」

よっぽど必死な形相をしていたのだろうか。 店員の女性は張り付けられた笑顔を見せながら、ショーケースの中から俺が見ていたイヤリングを取り出した。

「可愛らしいデザインで人気なんですよぉ~…」

「へ、へぇ~…」

< 232 / 306 >

この作品をシェア

pagetop