【完】嘘から始まる初恋ウェディング
とあるアクセサリーショップで足を止めて、ガラスケースの中をジッと見入る。
一万ちょっとのイヤリング。値段も結構手ごろだ。
淡いピンクとローズがついていて、リボンの形になっている。いかにもルナが好きそうなデザインだ。
…それにあいつに似合いそう。 生粋のお嬢様だ。社長やらから高級なジュエリーなんつーのは貰っているかもしれない。
でも値段で物を選ばない女だろう。 俺からのプレゼントだと言えば、あの大きな瞳から大粒の涙を流して喜ぶに違いない。
「彼女さんへのプレゼントですかー?」
「へ?」
よっぽど必死な形相をしていたのだろうか。 店員の女性は張り付けられた笑顔を見せながら、ショーケースの中から俺が見ていたイヤリングを取り出した。
「可愛らしいデザインで人気なんですよぉ~…」
「へ、へぇ~…」