【完】嘘から始まる初恋ウェディング
丁度休みだという実悠を近くのホテルに誘って会う約束を取り付けた。
きっとこんな気持ち、他の女を抱けば消える。そう本気で思っていた。 一度自分の中に染みついた本当の愛は、どれだけ払拭しようとも消えて行かなかったのに。
「マジで久しぶりじゃん」
「おー久しぶりー。めっちゃ溜まってんだわー」
「あんた…会うなり最低発言してくれるわね。相変わらずね……
でもまあ、そういう翔らしい所好きだけどね。」
適当なラブホに入って、話もそこそこでシャワーを浴びに行った。さあ、いつも通りのハッピーライフを再び。
俺らしくない考えなんて止めて、いつもの自分を取り戻そう。
誰にも干渉されないあの生活が好きだったし、楽だった。 誰かひとりに固執しても良い事の一つも無い。それどころか自分以外の誰かが自分の人生に干渉してくるなんてまっぴらごめんだった。
シャワーを浴びてソファーに座る実悠の側に行くと、彼女はやたらと不機嫌そうだった。
しかし今日も綺麗な女だ。 化粧もばっちりで色気もある。 ルナとは違い大人で、俺との関係も割り切ってくれる都合の良い女。 女つーのはそうでなければいけない。
けれど実悠は綺麗な顔を歪ませて、さっき買ったアクセサリーのショップ袋をこちらへ差し出した。