【完】嘘から始まる初恋ウェディング
ルナを抱いた日を思い出した。
あいつはぶるぶると震えながら、大粒の涙を零して俺に向かって「恋人になりたい」と震える声で言った。
でもそれが叶わないならば、セフレでもいい。なんてあいつらしくない言葉を吐いた。 その健気さが切なくて可愛くて、どうしようもなく愛しくなってしまいあいつを抱いたんだ。
実悠の冷たい指先が、背中に回る。
待ち望んでいた。 エロくて俺好みの女。 抱かれるだけ抱かれて面倒な事は一切言わない。
最低な俺には、打ってつけの女のはずだった。 セックスなんてその場の欲望が満たされれば充分だと思っていたはずなのに。
きっと今日実悠を抱いたとしても、俺の中のルナは消える事がない。 背中に回った手をそっと引き離した。
「翔…?」
「ごめん、呼び出しておいて…。
俺、やっぱり無理だ」
「はぁ?無理って何? どうしたの?翔らしくないよ?
どっかおかしくなっちゃったんじゃないの? そのアクセサリーショップの袋といい…
まさか…あんな子供っぽい子を本気で好きになっちゃったとか?」