【完】嘘から始まる初恋ウェディング
――たった一人の女を大切にするなんて馬鹿らしい。
いくら真剣になったって、女なんて裏切るものだ。 そうならば、誰も真剣に愛したりはしない。
だってそんなの重たいし、裏切られれば誰だって辛い。 自分ばかり好きでいるのは、悲しい。
そうなるならば本気になる前に、こっちが遊びだって割り切っていた方が楽だった。
でもルナが余りにも真っ直ぐに俺に好きだと伝えてくれるから。何一つ疑うことなく、気持ちをぶつけてくれたから。 だからこんな俺が手を出してはいけない女だとは気づいていたんだ。
ああ、馬鹿らしい。 一人の女を愛しぬく事を出来ない男が、また誰かを好きになるなんて。
自分で自分に吐き気が催す。 それでも好きになってしまったのならば、もう腹を括るしかないのか。
―――――
何となく桜栄家へと帰って来てしまった。
けれどそこには何故かルナの婚約者といって社長が連れて来た阿久津北斗と、その横にはレナがいた。
この間から思ったけれど、何故この二人はいつもセットなんだ?あ?お前らハッピーセットなんか? ルナよりずっとレナの方がお似合いじゃねぇか。 婚約者ならば、レナで良いではないか。どちらにしたって桜栄家の令嬢に違いはない。
二人は丁度帰る所のようだった。