【完】嘘から始まる初恋ウェディング
「あ、白鳥さんこんにちは。」
休日だというのに阿久津北斗はきちんとした格好をしていた。
THE爽やかな優男といった感じか。 つーか初めて会った時も思ったんだけど、こいつ普通にモテそうなんだよなあ。
仕事でもないのにぴしりとしたシャツを着て、お洒落なジャケットを羽織って、高身長。 と、思った瞬間今日着ていた自分の恰好を思い出して、気まずくなる。
身長は同じくらいだが…俺とは全然違う。
そんな俺はといえば完璧なるダル着。 パーカーにダメージジーンズ。 育ちっつーのは休日の格好に良く出るもんだ。
「白鳥さん、今日は随分ラフな格好ね」
隣に居たレナがじろりと上から下まで値踏みをするように人の事を見るので、嫌な気分になった。
「こんにちは、阿久津さんとレナさんまで。 今日は何か用事でも?」
「自分の実家に帰って来て何が悪いのかしら?」 お前に訊いてねぇよ。 相変わらず口の減らない女だ。可愛げっつーもんがない。
眉をひそめて不機嫌そうに薄い唇を尖らせた。