【完】嘘から始まる初恋ウェディング
母の言葉に、ボッと顔を赤くする。
アハハ、と声を上げて白鳥さんは優し気に微笑みかける。
その微笑みに、胸がきゅっと苦しくなるのです。 男性とお付き合いした事はありません…。
幼稚舎から大学までずっと女学園に居て、男性と余り接触する機会もなかったから。
社会人になって、会社に男性は居て、お食事に誘われた事も何度かあったけれど、特別に胸がドキドキしたり、きゅんきゅんしたりする経験はなかった。
でも、何故なの?
今朝車の水が跳ねた時私を守ってくれて、傘を貸してくれた。
その時だけ、どんよりと曇った暗い空の下彼だけキラキラと光って見えた。
改めて話してみて、心臓が忙しく動いていく事も、自分の意志とは反して体が熱くなって、恥ずかしくなっていく事も…。
こんな素敵な男性に出会った事はない。 見た目も仕草も表情も、夢見ていた理想の男性にぴたりと当て嵌まる。
運命の出会い。まるでドラマや小説のようなドラマチックな恋の始まりのような…。
白鳥さんがジッと優しく私を見つめる。その視線を一心に浴びて、この熱は止まりそうにない。