【完】嘘から始まる初恋ウェディング

「レナとはよく休日に一緒に出掛けたりしてるんだ。 今日は付き合って欲しい場所が合って、休日をお借りしていたんです。」

「へぇ~…それは仲良さそうな事で。
ルナさんの婚約者といっていましたけど、阿久津さんにはレナさんの方がお似合いに見える」

嫌味で言った言葉に、阿久津北斗は目をぱちくりと瞬かせる。 そして可笑しそうに笑った。

ふんわりと柔らかく笑う仕草は育ちの良さを浮き彫りにさせる。 それに反して隣に居た女は、ムッと眉を寄せて怒っていた。

「あなたは…一体何を言っているの?!
私と北斗はただの幼馴染。それ以上の事なんてないわ…!
本当に失礼な人だわ…。」

俺にはレナが何故そこまで怒っているのかは分からなかった。

「まあまあ、」と宥めるように阿久津北斗がレナへと目を向けると、ふっと一瞬気が緩んだかのように頬の力が抜けていく。

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