【完】嘘から始まる初恋ウェディング

「別に。気分」

「気分ってなんですの~?!気分って」

「うるせぇな。 それよりいいのかよ。ハリーウィンストン、めっちゃ高い宝石ブランドだろ?あんな風に返しちゃって」

「だってほっくんったら断ったのにいきなり来て…開けて見たら多分あれ…婚約指輪だったんですもの。
頂けないわ」

「こ、婚約?!」

俺の給料じゃあ、ハリーウィンストンを婚約指輪として絶対に選べない。 普通の20代の男には無理だ。

そう考えたら、こんな安物のブランドのアクセサリーなんて、ルナには迷惑だっただろうか。

馬鹿らしいほど卑屈になっている自分がいる。 誰かと他人を比べたって下らない事だよ。 レナにそう言ってやりたいのに、確かに俺自身が誰かと自分を比べていたから。

ああ、馬鹿らしい。 だから恋なんてするものじゃない。 このアクセサリーは渡さないでおこう。 大体ルナはこんな安物より高級なアクセサリーを沢山持っているだろう。

そう思えば馬鹿らしいプレゼントを買った物だ。

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