【完】嘘から始まる初恋ウェディング
とはいえ、お菓子作りは趣味だったがお料理はまだまだ勉強中。いつも母の手伝いはしているけれど、包丁を握るのはまだ少し怖い。
無言のまま白鳥さんはお手伝いをしてくれた。 撫子さんのお家でうどんをご馳走してくれた時もそうだったけれど、白鳥さんは包丁の使い方も上手で、本当に何でも出来る人だった。
あっという間に三品のおかずが完成した。 のろまな私とは対称的に白鳥さんはテキパキと動くタイプで、時たまこんなスローペースな私はうんざりされているのかと思ってしまう。
今日は帰って来てからずっと不機嫌なままだった。 眉をしかめ、口を一文字に結んだまま余り口を開かなかった。
「美味しいですわ、本当に白鳥さんってお料理上手」
「そーか?切って焼いただけじゃねぇか」
「私が一人でやったら倍の時間がかかります…」
「お前はのろまだからな」
ふんっと得意げに笑う。 今日の白鳥さんはいつもより意地悪です…。でも事実だから仕方がないのですが…。
それでも白鳥さんの意地悪な所さえ愛しい。だってその中には隠し切れない優しさが見えてしまうから。