【完】嘘から始まる初恋ウェディング
夕食を食べ終えてお風呂に入って、珍しく彼がリビングで寛いでいる。 いつもは母が居るからと直ぐに部屋に戻ってしまうけれど、お皿洗いをしながらジュリエットとロミオと共にソファーで寛ぐ白鳥さんを見て、じんわりと温かな幸せが胸にこみ上げる。
お皿を洗い終えて、ダイニングテーブルを拭いていたら不意に彼が口を開く。
「お前さー、レナと上手くやってないの?」
白鳥さんの言葉に思わず動揺してしまう。どうして彼は、いつだって人の気持ちに敏感なのかしら?
それはこの間、レナちゃんが女性社員と共に私の話をしていたのを思い出したからだ。
レナちゃんは優しい姉だった。小さな頃からずっと。 けれど本心では疎ましく思われていたのかもしれない。 泣き虫でいっつもレナちゃんに頼りっきりだった。
自分が思っている以上に迷惑をかけていてうんざりされていたのかもしれない。 そう思えば胸が痛む。
「そんな事ありませんわ。 でも…私は昔から姉に頼りっきりでしたから。
チェリーチョコレートカンパニーに入社してからも、いつも仕事のフォローをしてくれたのは姉でしたから…
そう考えたら私みたいな何も出来ない女にはうんざりとしていたのかもしれないですね」