【完】嘘から始まる初恋ウェディング
ごろりとソファーに横になって、白鳥さんはこっちを見つめる。
’好き’という言葉に特別な意味が込められていないのは、理解している。
それでも白鳥さんの’好き’は誰に言われる好きより特別だ。 照れくさそうに鼻を掻きながら、白鳥さんは別の話題を切り出した。
「つーかさ、マジで阿久津北斗はいいのか?」
「だから何度も言うように、ほっくんは兄弟以上には思えないんです。
それに…姉の気持ちも昔から知っていますし」
私の言葉に、驚いたように白鳥さんはソファーから立ち上がる。 「知っていたのか?」と困惑した表情を見せた。
「ええ。昔からレナちゃんはほっくんが大好きなんです。 そんなの昔から一番近くで見て来た私が知らない訳ないでしょう?
それにほっくんも私じゃなくってレナちゃんとの方がずっと仲良しだったから、いきなり私と婚約なんて可笑しな話です。
私はずっとレナちゃんとほっくんが結婚したらいいのに、と思ってましたから」