【完】嘘から始まる初恋ウェディング
「お前は…呆れるわ
ロミオとジュリエットじゃないんだから駆け落ちとかマジで勘弁だけど…一緒に暮らそうか。 ペット可のマンションでも借りて」
「えぇ!?いいんですの…?ロミオとジュリエットも連れて行って」
「だってお前あの馬鹿犬と阿保猫がいないと泣きそうだし。
つーか…犬猫可の賃貸っていくらするんだろう…。怖いぜ。マンション解約しないとな?」
「マンション?」
首を傾げると同時に白鳥さんは焦った素振りを見せて、携帯を取り出す。
「社長から連絡だ。 ルナ、俺は今から社長室に行って来る。 昼は同僚とランチをするんだろう?
お前も住みたいマンションとかあったらピックアップしておけ。馬鹿でかい豪邸とかタワーマンションは無理だからな?」
「えぇ!分かりました…!嬉しい…!」
ぽんっと頭を数回撫でて、白鳥さんは会議室から出て行った。
一緒に暮らせるのは嬉しい。父や母が寂しがるかもしれないけれど、彼がロミオやジュリエットの事も考えてくれたのももっと嬉しかった。
ルンルンとした気持ちでスキップをしながら、オフィスを出て行こうとした時だった。 ビルの前をウロウロとしていたのは、見覚えのある女性の姿。
背が高くてモデルのような美しさを持っていた彼女。 同僚達に先にランチに行って欲しいと断りを入れて、彼女へと声を掛けた。