【完】嘘から始まる初恋ウェディング
「ルナちゃん、翔と付き合っているの?」
実悠さんの視線は、私の耳辺り。 丁度白鳥さんから貰ったイヤリングを凝視していた。 その顔は美容サロンに居た時のように笑ってはいなかった。
この人はきっと白鳥さんが好きなのだ。その気持ちは理解出来た。 だから言葉が出て来なくて、こくんと小さく頷く。
がしりと両手で私の腕を握り締める実悠さんの手には、力が入っていてそれは僅かに震えていた。
「信じられない…!止めておいた方がいいよッ…。
この間も言ったけれど、翔は女と真面目に付き合えるような男じゃないのッ。
きっとルナちゃんが泣かされるだけだよッ?!」
掴まれた腕が揺さぶられる。 言葉ではそう言っていても、実悠さんは今にも泣きだしそうな表情をこちらへ見せる。
「泣かされてもいいです…。私は白鳥さんを信じているから…。
実悠さんが見ている白鳥さんと私が見ている白鳥さんは違うから」
「違わない。 翔は、本当に最低なの。 ルナちゃんみたいな純粋なお嬢様とは全然似合わないような…。
あいつと関係を持って、酷い事された女が沢山いるの。真剣に付き合うような奴じゃない
翔と付き合ってもルナちゃんが傷つくだけよ?」