【完】嘘から始まる初恋ウェディング
「でも…実悠さんは最低だと言いながらも本気で白鳥さんが好きなんですよね?
それなら…その気持ちを白鳥さんに伝えるべきです。 実悠さんがお話をきちんとされる相手は、私じゃありません…」
そこまで言うと、腕の力は途端に緩まった。
ぎゅっと目を瞑る実悠さんは苦しそうだった。 涙は出ていなかったけれど、泣いているように見えた。
ゆっくりと手が離されて、実悠さんの視線は段々と下へ落ちていく。 震える唇から、ぽつりと言葉が漏れる。
「ルナちゃん、可哀想… 翔に騙されてるだけなのにね」
「騙されている?」
「私、全部知っているわ。この会社では、翔は海外のお菓子メーカーからやってきたってていになっているんでしょ?
でもそれは全部真っ赤な嘘よ?」
…嘘? 実悠さんの言っている言葉の意味は分からなかった。
「翔から全部聞いているもの。
ルナちゃん、翔の本当の職業知らないでしょう?あいつ、親が警備会社やってんの。
ルナちゃんの事もルナちゃんのお父さんに頼まれて、身辺警護しているだけって言ってた」
「実悠さん…私実悠さんの言っている事がさっぱり分からないわ。」