【完】嘘から始まる初恋ウェディング
「ルナさんを監視したり、桜栄社長に妙な怪文書を送ったのは、レナさんあなたですね。」
しっかりもので気が強くとも、お嬢様育ちはルナと同じだ。
一瞬彼女の瞳が泳ぐのを見逃さなかった。
あからさまに動揺を見せて、そわそわと落ち着かない。 けれどこれは確信している。
社内をザッと調べて怪しい人物は洗ってみたが…該当する人物は見当たらなかった。 ルナが婚約をするのは、ごくごく近しい人物しか知りえない事。
一回近くまで気配を感じたけど逃げられた。 ルナから聞いた話。陸上のインターハイまで行ったレナならば足だって速い筈だ。 そして彼女は協力する振りをしながら阿久津北斗とルナの婚約を何としても邪魔したかっただろう。
そんな回りくどいやり方をしなくとも、自分の素直な気持ちを認めれば話は早いはずだが。
こういったやり方でしか、自分の意志表示を出来ない所はルナと同じで不器用か。
「な、何を言ってるかさっぱり分からないわ。 …父からルナの件は聞いているけど…私には関係ない!」
「そんなに阿久津北斗が好きなら、婚約の邪魔をしたかったなら回りくどいやり方なんてする必要ないでしょう」