【完】嘘から始まる初恋ウェディング
「私は北斗を好きなんて…
婚約を邪魔したいなんて思ってないわ…。 北斗は昔からルナみたいな頼りないお嬢様が好きなんだから
何を勘違いしているのかしら」
強気な口調とは裏腹に震えてる。 目が泳ぎっぱなしだし、頬だって赤い。
素直になれよと、全く素直じゃない俺が言えた話ではないが。自分の気持ちに素直になんなきゃ損する事ばかりだろう。
何を頑なに守っているんだ。それは自分のプライドだったのだろうか。
「それにルナと北斗はお似合いだと思うし。 北斗はすっごくしっかりしているの。それにあなたと違ってとても温厚で優しいもの。
ルナは頼りないし、ボーっとしているでしょう?だから私、二人はすごく似合うと思っているの」
悲しい性か。女という生き物は時に思っている事と正反対な言葉を使う。 総じて幸せな結末は待っていない。
不憫な女心にため息は止まらない。
「あー…面倒くせーな。いい加減自分の気持ち認めろよ。
頼りなくってボーっとしてる女だけど、お前が阿久津北斗の事を好きだっつー事はルナは気が付いてるぞ」
「ルナがッ?!」
叫んでは口を両手で塞ぐ。 そんなになるまで自分の気持ちを押さえつける理由って一体何だよ。