【完】嘘から始まる初恋ウェディング

「ルナはずるいのよ…。 小さな頃からずっと周りに甘えてばっかりで、私の後ばっかり追って
自分では何もしないくせに北斗からは無条件に好かれて…。
私は昔っから両親からもしっかりしてるからって心配もされなくって、ルナばかり溺愛されて…
そういうずるい所はムカつくの。私だってしっかりしたくてしっかりしてるわけじゃないもの!
お父さんもお父さんよ。何が阿久津フーズファクトリーとは穏便な関係を築いていきたいって
だからってルナと北斗の婚約はないでしょう!」

つまりは嫉妬。 実に下らん。 …下らんが、人と自分を比べて自分を卑下してしまう気持ちは分からなくはない。

顔を真っ赤にしてぼろぼろと涙を流すこの気の強い女は、実はちっとも心は強くなんかない。 寧ろあいつの方がずっと強かったんじゃないかな。

「お前はルナは何もしていないって言うけれど、あいつはあいつなりに自分の出来る事を一生懸命してるんじゃねぇかな。
人よりスローペースでムカつく所もあるかもしれないけど、あいつ頑張ってると思うよ。
だってその証拠に自分の駄目な所は認められて、悔しいって言えるんだから」

「あんたに言われなくたって…分かってるわよ………」

< 276 / 306 >

この作品をシェア

pagetop