【完】嘘から始まる初恋ウェディング
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「いやあ、今回は君には迷惑をかけたねぇ」
四週間。一ヵ月ぴったり。俺の仕事は終わりを告げた。 11月。 美しい秋は終わりを告げて、隙間風が冷たくなり本格的な冬の訪れを告げた。
甘ったるいお嬢様との生活は呆気なくも終わりを迎えたのだ。 最低な男というレッテルだけを残し。
「まさか、レナにそんな寂しい想いをさせていたなんて」
「はぁ…」
「私は中々に父親失格だな。娘達の気持ちも考えちゃいなかった」
「ああ…」
社長の言う言葉はもう頭には入って来なかった。
「君には約束通り報酬を受け取ってもらう。 いやあ、苦労をかけたねぇ。
会社の方にも振り込んでおくが、まあ尊がねこばばをするのは目に見えている。 特別報酬は、君の口座の方に」
あれから、ルナは俺とは一言も口を利いてくれなくなった。
というか、家ではあからさまに無視をするようになって、社内でも避けられた。
電話やラインは全てブロックされた。 彼女の大きな瞳は、もう俺を見つめない。
思えば嘘ばかりついてきた。こうなるのも当然といえば当然だ。