【完】嘘から始まる初恋ウェディング

最低の嘘つき男。
そんなの、どんな女に思われても平気だったはずなのに。

どうして俺はこんなに傷ついているのだろう。 あいつが俺の顔を全然見なくなった事をこんなに寂しく感じているのだろう。

考えるのは止そう。
元のハッピーライフに戻るだけだ。それを待ち望んでいたんじゃないか。

―――――

「本当に寂しくなるわあ、お母さん…息子が出来たみたいで嬉しかったのに」

「真子さんには、とても感謝しています。お世話になりました」

旅立ちの日はよく晴れた日曜日。 ふわりとした性格の母親と、その横でジュリエットが舌を出しながら俺の顔を舐めまわす。

ロミオは玄関で座り込み、長い尻尾をペシペシと床に叩きつけていた。 そこに、ルナの姿はない。

「本当に、あの子ったらどうしちゃったのかしら?」

階段の上、ルナの部屋を見上げて真子さんは小さくため息を吐く。

見送りにさえ来ないとは、薄情な女だ。 口も利きたくなけりゃあ、顔も合わせたくないときている。

優しくって天然ボケな癖に一度怒らすと厄介で頑固者だ。 お別れさえ言わせてくれないらしい。

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