【完】嘘から始まる初恋ウェディング
「い、いいんですよ。僕は」
「でもねぇ、あの子ったらすっかり翔さんに懐いてるなあって思ったのに。
喧嘩でもしちゃったの?」
「喧嘩というか、アハハ~…」
「…竜馬さんって結構強引じゃない?
私は、ルナの気持ちを尊重してあげたいと思ってるの。
翔さんが来てからルナったらすっかり変わったじゃない。 今までは周りに流されやすい子だと思っていたけど
仕事も頑張りだしちゃって、それも全部翔さんのお陰かなあって思ったりなんかして…
あの子本当は翔さんの事が好きなんじゃないかしらって」
「まさか……僕とルナさんは似合わないです。家柄にしてもそうですが、価値観が違い過ぎますよ」
「家柄が違ったって、価値観が違ったって、互いに好きならば何の問題もないんじゃないかしら?」
ゆったりと話すルナの母親は、静かに笑っていた。 別れを惜しむように俺へとじゃれつくジュリエットを彼女は、制止した。
すると全く俺に懐かずに敵意さえ見せていたロミオが、近くに寄ってきて足元にすりすりと顔を滑らせる。ゴロゴロと喉を鳴らしながら、目を細める。