【完】嘘から始まる初恋ウェディング

ロミオにはなれない。この恋を悲恋で終わらせるつもりはない。 桜栄社長には何を言われるかそれこそ分からない。

でも君を奪いに行く。 この手の中抱きしめたら、もう離さない。
この一ヵ月は、少しだけ甘ったるいお嬢様と過ごし、嘘から最高の恋が始まった甘い時間だった。

こんなに好きだと思える女には、きっと二度と会えない。
撫子の言葉に背中を押されて、気が付けば走り出していた秋の終わり。
このままじゃあ、終われない。

「おーい、翔。そんな落ち込むなよ。 俺の奢りで風俗行くかッ」

「お父さん、お兄ちゃんならもういないよ」

「何だよ、あいつ。変なの」

「本当に変だよねぇ~。もしかしたらお兄ちゃん近々結婚しちゃうかもッ」

「結婚?!あの翔がかッ。あっはっはっはっ。そりゃあ笑える。 どんな女を連れて来るか見ものだ」

「お父さんびっくりして腰抜かしちゃうんじゃないの~?
それより競馬勝った~?お小遣いちょうだ~い!」

< 291 / 306 >

この作品をシェア

pagetop