【完】嘘から始まる初恋ウェディング
♡8♡ *SIDEルナ* 駆け落ちジュリエット。
♡8♡ *SIDEルナ* 駆け落ちジュリエット。
甘くて苦い一ヵ月は足早に過ぎ去って行った。
あなたはもういない。
伝えたい事は沢山あった。このまま終わりにさせたくなかったのに、どうしても素直になれないままだった。
きちんと話をしようと言ってくれたのに、逃げてばかりいた弱虫な自分。何も変わっちゃいなかったんだ。
ほっくんのご両親と顔合わせの日、ブーツで道を歩いていたら枯れた葉っぱが道路に落ちていて、秋は終わりを告げたのだと再確認する。
彼と出会った、私の美しい秋は終焉を迎えた。
レナちゃんから一連の事情を聞いて謝罪を受けたのは、顔合わせの前日だった。レナちゃんの気持ちを考えてあげられる余裕さえ失くしていた。 全部嘘だった。
もうどうでも良くなって、敷かれたレールを歩く事を選んだ。 結局私は何も変われていないのかもしれない。
白鳥さんがルナを想う気持ちは本物だと思う。レナちゃんのそんな言葉さえ、聞かない振りをしていた。
顔合わせは有名グループの大きなホテルのレストランで行われた。
ほっくんのご家族とは昔からの付き合いで顔馴染みだ。 両親同士も仲が良く盛り上がっていた。
目の前に座っているほっくんも、いつもと変わらずに優し気な笑みを浮かべる。
だけど私は一人だけ浮かない顔をしたままだった。