【完】嘘から始まる初恋ウェディング
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「ルナ、おはよう。
ラッシュ時の電車が止まったんだって?
災難ねぇ」
「あ…!レナちゃん、おはようございます。
遅刻してしまって、ごめんなさい。 職場の皆さんにもまた迷惑をかけてしまって…」
「そんなん誰も気にしてないって~。てゆーかルナと同じ電車に乗ってた奴も何人か居たみたいよー。
そいつらゆっくりと来たくせに、ルナまた慌てて来ちゃったんでしょう? びっしょびしょじゃない。ゆっくり来れば良かったのに…」
「でも、皆さんに迷惑をかけるのは嫌だから…」
「もぉ…ルナは気遣い屋さんなんだからぁ…。お化粧がちょっと崩れちゃってるね」
そう言ってレナちゃんはハンカチで優しく私の濡れた頬を拭う。
この優しい女性は、私 桜栄 ルナの二つ年上の姉の桜栄 レナで、私は今年の春から姉のレナちゃんと共に父の会社である洋菓子 チェリーチョコレートカンパニーの企画部で働いている。
私も姉も、いわゆる社長令嬢という事になる。 姉のレナちゃんは24歳で会社に入社して三年目になり、私はこの春大学を卒業し、晴れて新入社員として父の会社に就職をした。