【完】嘘から始まる初恋ウェディング

「今朝、初めてお会いした時から…白鳥さんが居る場所だけ色が違って見えました」

何を言い出すかと思いきや、真剣な顔をして突然スピリチュアルめいた事を言い出すルナを前に、笑顔は引きつっていく。

「この世界に…こんな素敵な方がいらっしゃるなんて。
自分が思い描いた理想通りの男性が…縁あって父の秘書になって一緒に暮らせる事になるなんて、こんな運命のような出来事
現実に起こるなんて信じられない。」

このお嬢様は一体一人で何を言っているんだ。 理解が及ばない。
 
ルナの部屋で飲んだ紅茶からは、甘ったるい味がした。
デパートで売られている高級な砂糖菓子の様な女にはお似合いの。

でも生憎、こういったタイプの女は昔から苦手なのだ。 清純そうな顔をして、無意識に色気を巻き散らしてる事にも気が付かずに

鈍感で育ちの良いお嬢様。 近づかない方が良い。頭の中で警告音はなっているのに、この女は現在俺が守る対象だ。

十月の始まり。 金に目が眩んで引き受けた依頼を、面倒くさい事が起こるという序章と共に早々に後悔し始めた頃だった。

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