【完】嘘から始まる初恋ウェディング
今日は企画部に用事がある、と言った彼はそのまままだ誰も出社していない部署に一緒に来てくれた。
「思ったのですが…」
「え?」
「ルナさん、出社するのが早くないですか? 後、何本か電車を遅らせても間に合いそうなのに…」
白鳥さんの言葉を聞きながら、掃除用具を取り出す。 すると彼は不思議そうな顔をした。
「お恥ずかしい話なのですが、私は仕事が全く出来ずに周りの足を引っ張ってばかりなのです。
なので、自分に出来る事はしたいと決めていて、自主的に朝一番に来て、お掃除をしているんです。
あ、でも白鳥さんは私の時間に付き合ってくれる事はないんですのよ? もっと遅く来ても十分間に合いますもの。
今日は説明をするのを忘れてしまいました。 今、私お茶を淹れて来ますので、白鳥さんは仕事の時間までゆっくりなさっててください」
私とした事が、白鳥さんと出社出来るのが嬉しくてついつい一緒の電車に乗ってしまった。
もっとお家でゆっくり出来たのに。 しかし白鳥さんはお茶を淹れようと給湯室まで行く私の肩を優しく掴んだ。
そして私の手から掃除用具を奪う。