【完】嘘から始まる初恋ウェディング
「僕も手伝います。」
「いえいえ、白鳥さんにそんな事はさせられませんわ!」
「いいんです。僕がしたいのだから。 それにしてもルナさんは偉いですね。
だって、会社の社長の娘じゃないですか。 本来であるならばこんな雑用ルナさんのお仕事じゃないでしょう?」
白鳥さんが横に並んで、ほうきでゴミを集めていく。 …白鳥さんだって雑用を手伝うような人ではないわ。
それでも彼は嫌な顔ひとつせずに掃除を手伝ってくれる。 やっぱり心がとても美しい人だわ。
「雑用も大切なお仕事です。 何も出来ない代わりに皆さんが過ごしやすい環境を作りたいんです…」
「…ルナさんはとっても優しい人ですね」
「私なんて…そんな…
あ、お家からお花を持ってきたの。
綺麗なお花が飾られていると気持ちよく仕事が出来ると思って。
私、花瓶にお水を入れてきますわ」
優しい、と笑った白鳥さんの顔をみて思わず恥ずかしい気持ちになってしまう。
私は優しい人間なんかではない。 社長の娘という立場であるから、この会社のお世話になれている事は情けない話重々承知だ。