【完】嘘から始まる初恋ウェディング

仕事も出来ない自分を周りをどう見ているか知っている。 だから自分に出来る事はしたい。 本当は周りに認められたがっている、承認欲求の塊のような浅ましい女だ。


給湯室に行って花瓶にお水を入れていると、切ない気持ちになる。

もしも白鳥さんがこんな浅ましい女だと知ってしまったら、それこそ幻滅されてしまうのではないだろうか…。

お庭で育てていた秋薔薇の棘が指に刺さり、鈍い痛みが指先を走っていく。

「ルナ、おはよう。 今日も早いわね」

振り返るとそこにはレナちゃんの姿があった。 黒いパンツスーツをさらりと着こなす身長の高い彼女は、私とは性格も容姿も似ていないと昔から言われる。

お嬢様と呼ばれるのを嫌い、どちらかといえば勝気な性格。 部署内でも自分の意見は遠慮せずに言う、気が強いタイプだ。

さっぱりとしたショートヘアーの髪を揺らし、ゆっくりとこちらへやって来たかと思えば彼女はいの一番に私の手を取った。

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